天使の溜息ブログ

日常をちょっぴり豊かに

PERMANENT VACATION

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ジャームッシュニューヨーク大学大学院映画学科の卒業作品として制作した、16ミリの長編デビュー作品。

荒削りではあるが、

その後のジャームッシュ作品全般に宿る人間の詩的情緒が垣間見える原点と云うべき作品

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「ぼくの名前はアロイシユス・クリストファー・パーカー。

息子を持ったらチャールズ・クリストファー・パーカーと名付けてやるつもりだ。

チャーリー・パーカーっぽく、ね。」

冒頭の主人公の台詞。

高音のかすれた声質が、若さ故の無鉄砲さや無邪気さを象徴する。

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「僕は歩きながら夢を見る」

アロイシユスは眠れないままニューヨークを漂流する

人は住む部屋に似ていて、定着してしまえばおしまいだ。だからこそ、そうならない為に、追いかけてくるものの一歩先をあるくのである。

これは彼が自身の安住の地、すなわち「永遠の休暇(パーマネントバケーション)」を探し求める姿に他ならない

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彼が眠らずに夢を見る間、

様々なきっかけ(人々)と出会う。

終始暗い雰囲気が漂うものの、それは主人公の朧げな感覚を具現

化している様に思う。

 

ひとり窓の外を眺め続ける少女のリーラ。

未だ戦争が続いていると思い込む兵士。

精神病院に入り、意思疎通の難しくなった母親。

破れたスリップ姿でスペイン語の歌を歌う女性。

映画館で「虹の彼方に」のメロディを思い出せない黒人の男。

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様々なきっかけ(人々)で、

彼自身、あるいは彼が体験しているいろいろな出来事に気がつきはじめる……

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その夜、アロイシユスはひとりのサックス・プレーヤーと短い会話をかわす。

以前出会ったことのあるようなその男は

即興で眠りを誘うような美しいメロディを奏で、

音色は暗い通りを歩くアロイシユスを追う。

翌朝、アロイシユスは屋上で目覚め、

これまでのきっかけが循環するように、夢のイメージを辿るうちに、自身を次の出会いへと進ませる…

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彼は旅立つ為に波止場にいる。

そして反対側には年齢も身なりも同じような、

スーツケースを持った青年がいる。

彼はフランス人で、個人的な理由からフランスを離れ、

「新しい場所が休息のない状態を満足させてくれるのか知りたくてニューヨークに来た」という。

アロイシユスは彼に「自分はパリに行った方がいいのか」

と尋ねる。

青年は行った方がいいと答える。

「とにかくそこは違う場所だから」と。

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ふたりは交叉して反対方向へ歩み去る。

まるで互いが入れ替わるかのように……

 

この映画は

ひとりの青年が自身を向かわせる場所を探す物語である。

繰り返し訪れる出会いは、

彼の精神描写をあたかも具現化したようなもの。

まさに人の内面に深く刺さる

ジャームッシュらしい作品である。

冒頭に「荒削り」と書いたが、

ある意味で「青臭い」実直さが滲み出ている作品なのである。

 

最後に85年当時の劇場版パンフレットをご紹介して今回のブログを終わろうと思う。

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